校門の前、吐く息白く
冷えた朝の空気を裂くように
微かに流れるピアノの音。

音楽室の窓は開け放たれ
誰かが奏でる「思い出のアルバム」
そのメロディが心に触れる。

早朝の学校、まだ眠る廊下
だけどこの音だけは生きている。
まるで、過ぎた日々が呼び戻されるように
一つひとつ、思い出が浮かぶ。

部室のざわめき、楽器の音、
仲間と重ねた無数の練習の日々。
真剣な顔も、笑い合う声も
すべてが音に溶け込んでいく。

卒業がもうすぐそこに迫る。
最後の演奏会は、きっと特別な響きになる。
みんなの想いを音に乗せて
心をひとつにする最後の舞台。

校門の前で立ち止まる私は
そのピアノに何を返せるだろう?
ただ聴き入るしかできないけれど
それでいい、そう思えた。

朝練の時間、足を踏み出す。
冷えた空気に包まれながら
胸の中に静かに灯る決意。
この音を忘れない。この仲間を忘れない。