学校の帰り道
ふと空を見上げると
青いお空に、ぽっかり浮かぶ入道雲

ああ、あれは「くじらぐも」だ
1年生の頃、国語の授業で読んだっけ
クラスみんなで空を飛び、
くじらの背中で笑いながら遊ぶ話

思い出にふけりながら
私は地面を蹴ってみた
飛べるわけ、ないのに
でもほんの少し、期待してみたかった

ふわり、と浮かぶ体
でもすぐにストンと落ちる
着地した場所は――雲の上?
なんて、そんなはずもなく
いつもの地面に戻るだけ

私は周りを見渡して
誰もいないのを確認すると
小走りで家に向かう
帰ったら、また塾だ

疲れた心で思う
空は自由でいいな
あの雲のように
ただ風に任せて漂えたら

でも、まだ
もう少しだけ頑張ろうか
あのくじらぐもみたいに
自由を夢見る日があっても、いいよね